【開催報告】日蓮宗埼玉青年会主催 ★青年僧のためのグリーフケア連続講座 第6講レポート

埼玉県日蓮宗青年会会員の渡辺大延と申します。青年僧のためのグリーフケア連続講座第6講レポートを担当致します。

 

第6講 僧侶・お寺にできるグリーフサポート2

学びの目的

「わかちあい」にふれてみること、体験してみること、そして実際に場を開いている僧侶の話を聞くことから、場の意味を考える。そして、自分がこの学びを終えてから何ができるのか、何を大切にしていきたいかを探求する。

令和5年12月15日、川口市妙仙寺(仙太郎会館)様を会場に、15名の参加者(講師・スタッフ含む)により講座が執り行われました。

 

講座を始めるに当たり、チェックインを行いました。参加者が円になり、今の自身の状態を動物に譬え1人ずつ発表し、共有しました。

 

チェックインを終わると、てるみん(尾角光美さん)進行のもと講座が始まりました。

まずは振り返りとして3つのことばをおさらいしました。

 

グリーフケア

喪失を経験した(している)存在を大切にすること

失った(失う)ことを大切にすること

失った(失う)ことから生まれてくるものを大切にすること

 

グリーフワーク

なくしたもの、ことを主体的に大切にするために行う営み

(グリーフを少しずつ抱えやすくしていくことができる)

 

グリーフサポート

グリーフの表現をする機会(グリーフワーク)を支えること

また、喪失や死別に伴って生まれる課題や困難に対する支え

 

今回の講座の目的に「わかちあい」とあります。大切な人を亡くされた遺族または近い喪失体験をした人たちへの「グリーフ共有の機会」として、自分の経験してきたこと、感じていることを語り聞く会が全国にたくさんあるという紹介がありました。

(さいたま市のホームページには近郊で開催しているつどいの場のリンクが掲載されています)。

一般社団法人リヴオンでは、2009年から若者世代のつどいの場を提供、現在は、死別を経験した10代から20代の当事者がつどい、経験を分かち合う時間と場所の提供を定期的に開催しているとのことでした。

※当たり前と言われてしまうかもしれませんが、実は私たち僧侶が日頃から行っている葬儀や法要も、グリーフ共有の絶好の機会なのですね。

 

次に、つどいの場がどのように行われているのかを体験しました。始めるに当たり、グラウンドルール(この場で大切にしたいこと)が伝えられます。

自分と他者の考え方や感じ方の良し悪しを決めたり比較したりする場ではないこと。

カウンセリングやセラピーの場ではなく、そのままを尊重しエンパワメントしあう場であること。

話す中で出てきた感情は抑えず、表に出してよいこと。

誰かが話をしているときは、さえぎらず最後まで聴くこと。また話したくないときは話さなくてもよいこと。

ここで話をしたことは、ここに置いて帰り、他言しないこと。

 

参加者が円になり、てるみん(尾角光美さん)の鳴らすチベタンベルでスタート、15分程のつどいの場を体験しました。

 

次に、ゼンチャン(中道善信上人)によるお話を伺いました。

ゼンチャン(中道善信上人)は横浜市鶴見区妙信寺と群馬県吾妻郡薬王寺の2ヶ寺の住職を掛け持ち、多忙な法務に追われながらも、日々ご自身の修行も怠らず実践されている上人です。22歳で出家し、妙信寺の建立、薬王寺の再建、荒行堂での修行等、今日に至るまで布教活動に邁進されております。

妙信寺の開基上人は、ゼンチャン(中道善信上人)の祖母で、信仰篤く大勢の信者から頼られる存在だったそうです。しかし、その祖母が遷化されてから後、それまでの信者も代替わりする中で、だんだんと関係性が希薄していくのを肌で感じておりました。今までは檀家というものがなく、信者だけでした。信者は、住職個人の人柄などに信仰を求め、その一代でお寺を離れてしまうことが多い。なんとか先祖を護れるお寺を創って、永くお寺とご縁をもっていただける檀家のお寺をつくりたいという発願のもと、お寺を移転し新本堂を建立されました。

ゼンチャン(中道善信上人)は自身の経験の中から「人は絶対的な存在や特別な存在に救われるのではなく、他者とのつながりの中で救われる」という思いを持っておられました。

そんな最中、リヴオン主催の連続講座を受講され、他者とのつながりの場(つどいの場)を自坊にも取り入れたいと思い、「新盆送り火の会」という会を立ち上げたそうです。

新盆送り火の会とは、新盆を迎える家族に案内し、愛する故人に対して生前伝えられなかった想いや近況報告を皆の前でお話しいただき、最後には白木位牌を自らの手で焚き上げる会です。

実際に自坊において、つどいの場を開設しているゼンチャン(中道善信上人)の経験に基づく貴重なお話を伺いました。

※新盆送り火の会では毎回アンケートを実施しており、その一部を見せて頂きました。皆さんの「やってよかった」という感想がほとんどでした。また、アンケートには改善点を記入する欄がありました。お寺というのは、その性質から一方発信のまま終わることが多くある印象ですが、こうして皆さんの意見を取り入れ改善していくあり方はとても勉強になりました。

 

最後にごっちゃん(五藤広海さん)から、これまでの連続講座のおさらいのレクチャーがありました。次回はいよいよ最終講座、これまでの集大成です。

講座を終えるに当たり、チェックアウトを行いました。参加者が円になり、今の自身の状態を動物に譬え1人ずつ発表し、共有しました。